ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

雨宿りの時間

 

 

 

 

2021/3/12

 

雨宿りの時間

 

福岡キューブリックにて、ライブでありました。

深居優治という人間の、活動休止前、ラストの福岡企画。共演はどいつもこいつも、弾き語りとは名ばかりのサウンドと狂熱で歪んでおりました。私もその熱の中、フィーバーさせて頂きました。とても楽しかったです。ありがとうございました。

ただ、私のは機材トラブルがありまして、アレは良くなかったですな。1回目はともかく、2回目は絶対にダメだった、いやはや、申し訳ない。気をつけます。

 

深居優治という人間と出会ってから、どれくらいが経つでしょうか。6〜7年くらいか、わかりませんが、とにかく結構な年月を過ごしてきました。会わない期間は特になく、少なくとも年3回くらいは会っていた気がします。

彼はいつ会った時も、異常な量の機材を引き連れながら、はしゃいでおりました。はしゃぎながら、また、にんまり、と笑うのです。「雨、止まないね」とは彼のよく使うフレーズですが、その通り、常に雨を、湿度を感じさせる男です。実際、土砂降りの中で歌うのが、彼ほど似合う人間もいないでしょう。見た事がある訳でもないですが、彼のライブはいつもそんな感じです。

音楽的な実力があり、誰に対しても開けているので、彼の周りには人がよく集まります。しかし恨み辛みもあまり隠さない男なので、因果関係が結構ややこしくなったりもして、いつも大変そうでした。だけどどんな時でも彼の周りから人が途切れた事はないので、これもまた人徳なのだと思い、単純に羨ましかったりもします。

そんな深居優治が、あと2本のライブで、活動休止をいたします。

バンド界隈、殺しても死なないような人間がいくつもいて、そういう奴が辞めたりすると大層驚きます。しかし深居優治は、どんな時も、常に破滅の予感を身にまとっていました。なので活休の知らせも、すんなりと受け入れる事ができました。その予感は、拭き取ろうと手でこすればこするほど全身に広がり、常に彼を蝕み、それがまた彼を美しく見せるという、とても厄介なものでした。

傘を持っていても、雨に打たれるのは疲れるものです。彼はずっとひとりで打たれてきました。一度屋内に入り、ゆっくりとするのも良いと思います。

それで屋内が気に入れば、友人として祝福しますし、また傘をさして歩くのであれば、また時折会って、あのにんまりした顔と、一緒にはしゃぐとしましょう。

とりあえずは、お疲れ様でしたぜ。あと2本、頑張ってくれ。

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