ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

ホコリの奥

 

 

 

 

2021/10/12

 

ホコリの奥

 

珍しく、部屋の掃除をしていました。

結構、散らかってるように見えて、実は暮らしやすいように最適化されていて、実は散らかっている、そんな部屋であります。掃除は嫌いではないのですが、やはり面倒くささが先に立つもんで、中々腕が動きません。

本日はふらりと20分くらい空いてしまい、既に膨大な時間を無為にしてきた本日を有意義なものにすべく、重い腰を上げたのであります。

20分なんて携帯を見ていたら7分くらいで経つのですが、手足を動かせば15分くらいにはなるので、そこそこ掃除はできました。床のホコリを拭いていると、長らく清掃されていない地帯まで拭いてやりました。恐らくここに越してきてから、下手したら1度も掃除していない危険地帯であります。凄まじいホコリを掃討いたしました。いや、凄かった。

言っても「普段開け放しの扉の裏」という場所なので、そこまで下劣な汚さではないと思いますが、それでも随分と蓄積されたホコリでした。しかし、ここに越してきて払われてないという事は、このホコリの中には20代の半ばの時、私が散らしたモノも混ざっていたのかもしれません。ずっとギターを弾いていた日のホコリも、嗚咽と苦悩を漏らしていた日のものも、何もせず虚空を呪っていた日のものも、この中にはあったのかもしれません。

下手なくせに必死で、自信過剰なくせに呆れるほど臆病で、美学だけは立派なまま飯は食えず、高楊枝をする気力すらなかった日々。やはり辛い日々でしたよ。楽しいは楽しかったですがね。まぁ、今もそんなに変わっていませんが。

結局、ホコリはティッシュでこそぎ取り、すべてゴミ袋に入れました。あの日々を思いながら、綺麗さっぱり無くしました。大丈夫、あの日々は消えない。死ぬまで私の腹の中で、臓器と共に踊っていくのです。