ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

サンジューダイクライシス

 

 

 

 

2022/3/26

サンジューダイクライシス

朝、ソウイチロウ君宅で目覚める。

本日はノンフィクション、ライブ三連戦の二日目。一日までなら普段のライブだが、二日連続となると話は変わってくる。ここら辺でどう動くか、バンドとしての真価が問われるところである。

昨日は広島で全力のライブを行ったが、しかし目覚めは悪くない。最近コージ君とソウイチロウ君がやってる、ライブ前にプロテインを飲む「前プロ」、そしてライブ後に飲む「後プロ」という謎の行動がある。曰く連日の筋肉疲労に効くらしい。胡散臭いと思いながらも、コージ君がキャッキャ言いながら勧めてくるので、その可愛さに負けて昨日はライブ後、「後プロ」だけ試してみた。目覚めが悪くないのはその結果だろうか。ありがたいが、なんとなく、癪である。なんとなくね。

本日はお馴染み、小倉FUSEにてライブである。遠征のライブ三連戦と言っても、広島、小倉、宇部というルートを組んだので、毎度、小倉に帰っては眠れる形になっている。組んだというか、広島、宇部と入っていた真ん中に、小倉が収まった形である。移動のベクトルだけを辿れば面白い事になってしまっているが、それでも今日はFUSEの周年のライブ。ライブハウスの周年はね、祝わねばならんよ。それは我々の、お世話になっているバンドマンの義務である。

 

家を出る。天気は良くはなかったが、搬入時に雨が降らなくてよかった。雨の日のライブほど最悪なものはない。搬入で機材は濡れるし、我々も濡れるし、疲れるし、湿度がヤバいし、何よりお客さんも来づらいので、本当に良かった。マジ安堵。マジ。

FUSEに着き、搬入を終えて、リハーサル。終わったら飯を食らいに行く。昨日、広島の飯が食えなかった事件で、我々の食への欲求は燃える石炭のように昂ぶっている。呼気を漏らしながら近隣の蕎麦屋を侵略し、「ヤング定食」と名付けられたゴツ盛りメニューを制圧し、やっと平和が訪れる。

しかし、ここでひとつ、私はミスを犯す。この日のライブは時短にも対応できるよう、早めの時間でタイムが組まれており、食べ終えた時点で、我々の出番までの時間はあまりなかった。私の胃はヤング定食を制圧したつもりが、逆にヤング定食に制圧されてしまっていた。「もう貴様はヤングではない」そう言われている気がする。

本日の共演は豪勢で、ほとんど皆知り合いである。楽しく嬉しく、とても喜ばしい。共演のライブを観ながらも、胃腸では熾烈な争いが繰り広げられていた。

そして我々の本番、何とか直前までに胃は鎮圧し、全力のライブをする事ができた。全力で祝う事ができたと思う。勝手知ったるFUSEということも、やはり大きい。いやぁ、お世話になってます、FUSE。本当に。また何度だってお世話になります。何度だって、調子に乗らせてください。乗りすぎたらまた怒ってやって下さい。今日は胃が調子に乗りすぎて、危うく怒られるところでした。気をつけます。本当に。

f:id:iijitakahiro:20220328191310j:image

ライブ後、機材を片したら、トリのシンガロンパレードの素晴らしいアンサンブルを聴きながら、公演は終わる。

来てくれた人にお礼を言い、物販に勤しむ。終わったら片付けて、精算をして、打ち上げ代わりの資さんうどんへ行く。もう何度繰り返した道だろうか。しかしこの繰り返しは、毎度変わらずとても楽しいので、いつまでも続いていて欲しい。小倉FUSEで、私はいつまでも続けていたいです。

そうやって三連戦の二日目が終わる。またソウイチロウ君宅に帰り、眠る。起きたら明日は山口、宇部である。胃の感覚でわかった通り、我々ももうド若くはない。そろそろ疲労が危ないかもしれない。「後プロ」はやはり癪だったので、慰みのレモン飲料だけ胃に流し込んで、眠りにつく。