ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

明度 イン ディストーション

 

 

 

 

2022/6/3

明度 イン ディストーション

映画を観ていました。「アルプススタンドのはしの方」という映画です。

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2020年の日本映画です。野球部の甲子園の応援にきたものの、なんとなく応援席の端の方に寄ってきてしまった4人による、小さな小さな会話劇です。舞台はほとんど応援席の端で、ほぼ会話だけで進む青春活劇。活劇というほど動いてない、とても静かな映画でした。なんかもう、青春でしたね。青春。面白かったです。「高校3年になったらもっと青春してると思ってた」という台詞がありました。この台詞がもう、青春ですよな。

青春、私は好きですよ、青春。私にも青春はありました。もちろん、私は見ての通りロクな青春は送れませんでした。くすんでかすれて、汚めの灰色の青春でした。しかし、それでもそれは、私の青春でしたのですよ。

あらゆるものが足りない世界で、何もかもを持て余していく。何者でもない自分が、何者にもなれないであろう現実に知らんぷりをしている。許容と受領と妥協の波に飲まれながら、理想という木片に必死にしがみついている。そんな時代でしたな。

青春ってのは、実にディストーションです。ええ、私は好きですよ、青春。今でも、街で学生服を見かけるたび、何とも言えない気持ちになります。あの規制品の、白か黒か紺色かの服飾の中に、どれだけのディストーションが詰め込まれているのか。濁ってしまった私なんかとは違う、実に透明で綺麗なディストーションです。

羨ましいなんて思わないですし、もう一度やれと言われても御免こうむります。が、それでもアレは、見る分には実に綺麗なんですよな。