ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

没入の果て

 

 

 

 

2022/9/26

没入の果て

伊坂幸太郎「フーガはユーガ」読了しました。

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久々に、小説を一気読みなんてしてしまいました。正確には読んでいたのは昨日の深夜なんですが、まぁ日付は今日だったのでいいでしょう。寝る前に、ちょっと手に取ったらそのままズルズルですよ。今朝はキツかったですが、あの満足感と倦怠感のブレンドは独特の味わいがあります。あぁあぁ幸せですよ。

「本を読む」という事を娯楽にできるのは幸せなことだと、つくづく思います。子供の頃から本の楽しさに気がつけたのは幸運でした。「小説なら買ってやる、漫画は小遣いで買え」という方針を採ってくれた父には感謝です。

もちろん、本が一番素晴らしいメディアだ、なんて思ってはいません。映画だってゲームだって、演劇だってアニメだってそれぞれの素晴らしさがあります。しかしあの、本にどっぷりと没入した時のあの感覚、脳味噌に文章が濁流のように流れ込み、イマジネイションがぐんぐん加速するあの感じ。あの起きながらに無理矢理夢を捩じ込まれるような感覚は、ちょっと他のメディアでは味わえそうにないです。わかる人はわかると思います。あの感覚は本当に気持ちが良い。

流石にもうこれくらいの経験を持つと、新鮮さや没入感みたいなのは昔に比べりゃ減りました。昔ほど夢中での読み込みはできなくなりました。しかしながら、あの感覚、あの夢のような感覚は、今後も一生求め続けてしまうのだと思います。面白い本を、息を呑む文章を、死ぬまで追い続けていくんでしょう。あぁ幸せ。