ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

反吐ヘッド

2023/3/26

ふと思い立ったミュージックを聞きながら、昼食の袋麺を茹でていました。

聞いていくと徐々に、この音楽は、大学時代に嫌いだった奴が好きな音楽だったことを思い出してきて、大層ムカついてきました。よりにもよってコピーバンドで沢山ライブをしていたので、曲を聞いていると奴の顔が思い浮かんで吐き気がします。これから食べるラーメンが不味くなりそうでとても困る。

もちろん、音楽自体に罪はないです。バンドにもまったく罪はない。すべての罪はヤツが背負うわけなのですが、それでもこの音楽は私にとって、少し汚れたモノになってしまっています。本当に、本当に根深く嫌いだったので、曲を聴くたびに思い出すのでしょう。多分死ぬまでね。実に迷惑な話です。今頃何をしてるのですかね。無事に人生失敗してるといいな。ゴミみたいな性格をしていたので、たぶん良い人生は送れないとは思いますが。

恨みつらみってのはね、なくなりませんよ。それに対して「忘れてしまえ」とか「嫌いな奴を思っているヒマはない」とか言う人は、心の底から人を憎んだ事がないのでしょうな。紛争地帯の兵士に向かって平和を説くようなお気楽な行為、実に羨ましい話です。

何かを嫌いになるってのは、別に悪い事ではないと思っています。きちんと自分を貫く生き方をしているなら、むしろ嫌いなモノのひとつやふたつあって然るべきなんです。ただ気をつけなきゃいけないのは、きちんと自身の美学に反するモノを嫌うこと、これです。嫌悪と美学ってのは表裏一体ですので、これを怠ってつまらん理由で嫌いを振りかざすと、自身の美学まで安っぽくなってしまいます。この辺は、本当に注意せねばならんです。

私は自身の美学に沿って、誇りにかけて、心の底から奴を恨んでいます。それゆえ生き方を変えない限り、この恨みも半永久的に消えないのでしょう。ミュージックには申し訳ないですが、どうにもこの感情は止められそうにないのです。音楽を止め、出来上がった袋麺を啜りながら、そんな事を考えていました。