ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

読書の時間

2023/10/24

どうにも朝から喉が痛く、また少し熱っぽくもあり、これが風に聞く「風邪」というモノなのでしょうか。呻くほど痛い喉に龍角散と蜂蜜を投与しながら、今日は1日ゆるりとする事を決めたのでした。

幸いな事に誰かとの約束もないので、小麦を焼いて食らった後はコーヒーを飲み、久々に本など読んでいました。レコ発やらで忙しかったので、ゆっくりと本を読むのも久々です。読書家みたいに思われるかもしれませんが、私はそうでもないです。しかし読書家になりたいとは思っているので、本は集めるし無理矢理にでも読み込んでいます。読書家、格好良いですよな。どういう条件を満たしたらジョブチェンジできるのでしょうか。

レコ発前、レコーディングが激化する前に読みかけていた本を、内容を中途半端に忘れてしまっていたので、もういっそ最初から読み直していました。読んでいるのはミステリー小説なので、段階を踏むのはとても大事なのです。二度手間ではありますが、好きな作家は何度読んでも面白いもんです。

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恩田陸「鈍色幻視行」。船という密室で語られる、呪われた映画とその因縁の話。謎多き原作者、怪しげな登場人物、意味のわからない遺書、亡くなった人間の謎の言動。ミステリ愛好家が垂涎する要素だけで作られてるバケモノみたいな本です。ミステリとしての面白さ、牽引力みたいなのだけでなく、文章もとても綺麗に整っています。これだから恩田陸は良い。大ファンであります。

外は快晴、下校するジュブナイル共の歓声を聞きながら、ゆっくりゆっくり、1枚1枚のページをめくる。久しく忘れていました、至高、至福の時間です。紙に落とされた文章は読んでるうち、脳内言語と一体化し、現実との境界が緩んでいきます。水に入れられた錠剤がゆっくりと溶けるような感覚の中、物語はぐんぐん進んでいきます。やはり読書は良いです。その後、半分ほど読んだら本を閉じたのですが、その瞬間の、現実に帰ってきた瞬間もまた乙なものです。ゆっくりと目覚めたような感覚。すると喉の痛みと熱っぽさを思い出したので、少し眠りました。なんと贅沢な日なんでしょうかね。少しは作業なんかをするべきなんですが、なにせ風邪気味なもんでね。しょうがない、しょうがないですよなぁ。