ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

また本の話

2023/12/26

細胞ごとコタツに取り込まれながら、またも本を読んでいました。なんとなく、読書は冬の方が質が深まる気がします。冷房で輝く夏の部屋よりも、暖房でふくらむ冬の部屋の方が、読書という淡々とした行為にはふさわしい気がします。気がするだけですがね。

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「方舟」という本を読んでいました。少し前に話題になってましたね。なかなか衝撃的な本でした。最終章にもなれば、久しぶりに「うぇー」とか「うぁー」とか呻きながら読んでいました。ミステリ読んで20年近くになりますが、久々に心がぐちゃぐちゃに掻き乱されました。とても良い本です。おすすめ。

昨年発売の本ですが、この本は多分、数々の中高生たちの脳味噌をぐちゃぐちゃに破壊しているのでしょうな。とても良い事です。そういう体験は早めの方が良い。早いうちにそういう本に出会っておけば、少なくとも読書に対する、苦手意識は少なくなるでしょう。そういう点で、ミステリは「小説としての愉しみ」がわかりやすく詰まっています。どんでん返しとか、叙述トリックとか、そういうのは早めに喰らっておくべきなのです。

だいたい、中高生にいきなり夏目なり太宰なりを勧めても、楽しいはずはないのですよ。もちろんそれらも早めに出会っておくべきではあるのですが、とりあえず読書に対する忌避感みたいなのをキッチリ殺しておかないと、余計に忌避感が深まるだけで良いことはありません。まずはラノベでも、なんならぼくらのシリーズでも良いので、「本を読んで楽しい」という経験を少しずつ積ませるべきなのです。楽しみ方を知らないと、間違いなく漫画やゲームの方が面白く感じるでしょう。

私も学校の先生から文学は勧められてましたが、全くわかりませんでしたね。中学生、当時そこそこ本を読んでいた私がわからなかったので、本を読んでいない人はもっとわからないかったと思います。文学なんかは、とっぷりと文に浸かり、その深さがわからないとまず面白くないので、脳が漫画とゲームに半融合している中高生に求めるのは酷ってもんです。1人だけ、東野圭吾を勧めていた先生がいて、その人は少し信用できましたね。

中学時代、ミステリーに出会わなかったら、間違いなく私の人生は別物になっていたでしょう。どんでん返しや叙述トリック、喰らった私はベッドの上で本当にのたうち回っていました。あの感覚、中高生みんなに味わって欲しいですね。まぁこのブログを中高生が見ているとは思えませんが、夕木春央「方舟」、オススメです。みんなで脳を破壊されましょう。