ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

ユウカイテキスト

2023/11/9

目が覚めて6枚切りを一枚食べたら、しばらく呆けた後、本を読んでいました。本当に、何の齟齬もなく、ただ本を読んでいました。本を読む、以外のことはほとんどしていないくらいです。ここまで没頭したのは久しぶりですね。

少し前にも書いた気がしますが、やはり読書ってのは良いですね。没頭している時間ってのは至福です。見ているのは紙と文字だけなのですが、頭の中には映像が流れています。真に没頭した時なんか、網膜に映っていないだけで、目はずっとずっと映像を凝視しています。そうなれば時間も止まりますし、音だって消えます。身体はページをめくるだけのマシーンと化し、眼球と脳だけが大回転します。テキストと溶け合うような感覚。とても、至福です。

この感覚を子供の頃から知れたのは、財産だと思っています。私のジュブナイルの時代は「漫画は小遣いで買え、小説なら何でも買ってやる」という父の方針により、目についた面白そうな本を色々、買って貰ったものです。中学くらいでミステリーに出会い、どんでん返しに脳を焼かれたのが決め手でしたね。そこからの読書人生はもう、あの快楽を一生かけて追い求める日々です。

昨今では流石に読書量は減りましたが、やはりあの感覚、世界一気持ちの良い「えっ?」を私は言いたいのです。もちろん、そうじゃない小説も好きなのですが、ミステリーの謎解きの瞬間や、どんでん返しが起きたその瞬間のあの感覚、あの感覚はもう、一生忘れられないものですね。ある意味では性行為の快楽に近いかもしれません。それくらい強烈なものでした。

本を読み終え、目の奥が痛いです。今回の本は中々のモノでしたが、読めば読むほど展開やパターンを知り、衝撃が薄れるのが辛いところです。しかしまだまだ、この世には何処かにあるはず。あの世界一気持ちの良い「えっ?」を言わせてくれる本が、じっと何処かに息を潜めているはずです。しかしそれは読まねばわかりません。読んでいきます。表紙で、著者で、タイトルで、あらすじで、噂で、脳裏に引っかかるモノを片端から、読んでいきます。