ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

かつてのワレワレ

2023/11/22

旧友と飲みに行っていました。正確に言えば、2人とも飲まなかったので飯を喰らいに行っていました。

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お相手はノンフィクション初代ベーシスト、園田智弘くんです。その昔、私の隣でバゴンとベースを弾いていた奴であります。仕事の都合で脱退してからはもう十年以上が経ちますが、間違いなく、彼はノンフィクションの一員です。

もつ鍋を箸で突きつつ、近況の報告から始めていきました。まぁ近況と言っても、我々ノンフィクションのやってる事はほとんど変わりやしません。なんなら規模感もそこまで変わっていません。誇らしさと情けなさを交えながら話してみると、彼はなんと2児のパパになっていました。仕事も大変そうですが、充実をしているようです。かつては同じ道を通っていた人間が、ここまで社会性に差がつくことがあって良いのでしょうか。

しかしまぁ、どれだけ会っていなくても、卓を囲んでちょっと話してしまえばもう、卓は十年前と同じテーブルに変貌します。過去と現在と未来の話に、ある事ない事混ぜ込んで、適当な考察じみたものを投げ合っていました。当時からコイツはきちんとした教養を以て、きちんと論ずることのできる人間だったことを思い出します。別に何の役に立つ事を話していた訳ではないのですが、それはとても楽しい時間でした。

料理も終わり、飲み物の追加をするでなく氷を飾っていると、話題は徐々に大学時代の話へと移っていきました。私と彼とソウイチロウ君が出会い、話し、学び、笑い合い、時にはモメにモメたあの場所です。当時の感覚、今にして思えば不思議なあの感覚、あれは一体何だったのでしょうか。当時の我々は間違いなく愚かな存在、というか大学生という生物はすべからく、愚かなものでした。しかし今思えば、愚かでいられた事はとても幸せな事でしたし、その愚かさを同じ尺度で共有できる人間がいたっていうのは、かけがえのないモノだったのだと思います。

今、あの生活を与えられても、無理ですね、無理だねと2人で笑っていました。あの生活を楽しむには、我々は賢くなってしまった。歳をとってしまいました。少し寂しい気持ちにはなりますが、しかし歳をとるということは、そんなに悪くないものなのだと、そう気がついたのも、やはり歳をとってしまったからです。

お互い、34歳の生活と人生を話しながら、その責任を一身に背負いながら、それでも馬鹿な話で笑っていました。あの頃に共有した愚かさは、やはり我々の根本に根付いていようです。このまま年齢を重ね、歳月を過ごしても、恐らく彼と人生のレールを共有することはもうないでしょう。それでもあの愚かさは、我々に根深く潜む愚かさは、どうかいつまでも共有したいものです。