ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

コーヒーミルでみる

2024/2/29

少し前、小さなコーヒーミルを買いまして、最近は豆を挽いてコーヒーを淹れたりしています。変わらず安い豆ではありますが、挽いてすぐに淹れると香りが立ち、味に立体感が出る気がします。まぁ私はそれなりに馬鹿舌なので気のせいかもしれませんし、豆の保管法もたぶんなってないので挽き済みのものと大した違いはないかもしれませんが、それでも雰囲気はとても良く、気に入っています。適度に自尊心がくすぐられるのも良いですね。

ほの暗いキッチンでひとり、豆をガリガリと挽いている時間は、手間ではありますが充実はしていますね。ほんの少しだけ、生活が豊かになった気がします。朝の数分が消えてしまうのは痛いですが、コーヒーだけでなく生活にもコクが生まれた気がしますね。細かいところではありますが、こういうのはとても大事なんです。こういう小さな充実の積み重ねが、少しずつ足元の安定感を増してくれる気がします。英語テストのアクセント問題みたいなもんですかね。懐かしいな。

こういうの、昔は軽視していましたな。内容さえ良ければ見映えなんてどうでも良く、大事なモノ以外はすべて粗悪な安モノで済ませていました。結果、文字通り余裕がなくなり、ギリギリの骨身を削って叩き売るような生活になっていましたね。精神が荒んでいたのはそのせいもあるかもしれません。

あいもかわらず資産も生活も貧弱ですが、昔に比べりゃ余裕はできました。昔ほど心が荒んでいないのは、曲を書く上で良い事なのか悪い事なのか。しかしながら、自ら荒みにいくような不自然なことはできようもありません。不健康ですしね。やってる人がいるなら辞めた方がいいです。余裕ができたらできたで、その時々の曲を書かねばならんのです。コーヒーミルで挽くように日々の感情も挽きあげて、ゆっくりとドリップしていきます。昔の曲よりは、香りや立体感があるものになっていると思いますぜ。