ヒズミ回想

とあるバンドマンの、変哲も平坦もない日常。

7月8日 扇町は僕らのパラダイスなのさ

朝、目覚ましのアラームが鳴って、7時過ぎに起床。ライブ当日なのに、目覚めは、悪くない。珍しいこともあるもんだ。


ソウイチロウ君を起こしながら、準備を進める。パンと卵とトースターを借り、ノブを回した後にシャワーを浴びる。上がったら、パンをかじりながら、準備を整える。

本日より、二日間の大阪ライブ。楽しい楽しい遠征である。楽しい、楽しい。ん、きっと楽しいはず。


多めの荷物を持って、外へ出る。夏である。暖かいが、まだ暑くはなっていないので、遠征をするなら今のうちである。夏はマジ、やってられんゆえ。


車に乗り込み、荷物をムリヤリに詰め込み、何度か忘れ物をして部屋まで取りに行ったのち、発進させる。


サポートDr.みょーちんを拾い、道中でミズニウキクサめぐちゃんを拾い、いざ発進。また大阪までの、長い道のりが始まる。頑張れ運転、ソウイチロウ君。

 

今回もまた、阿呆な会話を繰り広げている。が、ツアーを始めて3ヶ月。そこそこの回数の遠征を経て、流石にもう、会話のストックはない。たまに訪れる沈黙を噛み締めながら、山陽道を爆進する。時折、SAでパンをかじりつつ、山陽道を邁進する。

 

休憩込みで約7時間、大阪、扇町パラダイスに、到着する。お疲れ様だぜソウイチロウ君。

搬入場所がわからず苦戦するも、電話で確認しつつ、いざ、機材の搬入に入る。

 

が、この、機材の搬入が、曲者である。

扇町パラダイスは、テナントビルの地下一階にある。そしてそこまでの道が、まず狭い。物販など大きなものを持っていると、とても通りづらい。

そして、会場入り口までの螺旋階段があるのだが、ここがまた、狭い。アンプのような重いものは、正味、命懸けである。以前知人に聞いた。「アンプ持ってコケたら死ぬで」という言葉を思い出し、ぞわりとする。2人で持って、慎重に、運び入れる。

 

なんとかかんとか、搬入を終える。改めて、扇町パラダイスの会場を見る。聞いていた通り、とても、狭い。だがこの狭さが、わたしは、落ち着く。いいねこれ。秘密基地みたいで、とても良い。アンダーグラウンド。親とか、とっても呼びにくい。最高である。「ロックはこうでないと」とは言わないが、この内装は間違いなく、ロックである。

 

そしてそのまま、リハーサルが始まり、それなりにソツなく、終わる。うむ、大丈夫そうだ。今日もよろしくおねがいします。

 

終わり、外の商店街を徘徊する。シャッターの少ない商店街、いいね。やたら活発、さすが大阪である。何故か多い古本屋を適当に物色したり、適当なうどん屋をすすったり、コンビニを探して彷徨ったり、する。

 

そして、出番待機。対バンを見ながら、テンションを高める。

1バンド目は聞く畸形新聞(きけいしんぶん)である。オルタナオルタナを煮詰めたオルタナである。すばらしい。後で聞いてみたら同い年のよう。最高である。

 

2バンド目はLODYPOP、何度目かの邂逅である。見た目はオシャレポップなのに、曲は激しい、素晴らしい。

本日スリーマンにて、我々の出番は次。適度にテンション上がりながら、楽屋に戻る。もうちょい、みたかったな、くそ。

 

整えて、準備して、さて、我々の番。SEか鳴って、入場し、喋り、喋り、合図をもって音を鳴らす。そこからは、歌い、叫ぶ。ここの照明は、昔ながらの白熱灯のようである。発される熱が、熱い。とても良い。

 

近年は、LEDに変えられている照明。白熱は熱く、LEDは熱くない。熱いと汗をかくし、弦の調律が狂うこともある。しかもLEDその方が省エネであり、長寿命。ライブハウスからすれば、導入費以外、変えない理由がほとんどないのではないかと思うくらいのものである。

しかし、ここは白熱である。それが素晴らしい。それは間違いなく、ロックのそれである。

 

会場かて、お世辞にも綺麗とは言えない。別にそれが良い悪いではなく、ただ、ここに蔓延する空気は、間違いなく、ロックのそれである。

 

ここは、まぎれもないパラダイスである。

少なくとも。私にとって、我々にとっては、パラダイスであろう。

 

終演。結構な盛況を頂く、ありがたいものです。ありがとうございます。

 

吹き出した汗を拭いて、物販、片付けをしながら、そのまま乾杯が始まる。店の人、対バンの人、お客さんとまた、話す。知り合いが増えるのは、単純に、楽しいよ。本当に。

 

主催たる大阪の音楽ジャンキー、ぴーちゃんとも挨拶をしつつ、笑い合いつつ、清算を終える。彼は今日含めて、5日間の連続主催を行う。なんという強行、最高じゃないか。応援をしている。

 

挨拶を終え、搬出を終えて、車を出す。さらば楽園。また来るぜ商店街。

めぐちゃんをネカフェに送り、我々は友人宅を目指す。

 

友人宅にて、暖かく、迎えて頂く。本当にありがたい。シャワー、寝床はもちろん、食事まで、頂いてしまう。友人の母様と雑談をしながら、夜を過ごす。遅くまで、すみません。

そのうちに、就寝。明日も大阪、fireloopである。鋭気を、養う。